留萌方面を満喫せよ~2015年北海道旅行記1日目

2018年5月3日旅行レポート

先月北海道に行ってきました。金曜の仕事が終わってから羽田へ向かい、月曜に休みを取って夕方便で帰着。親戚周りがメインだったのであまり趣味活動はできませんでしたが、それはそれとして2年前に北海道行ったときの記録を全然つけていなかったので、記憶が風化する前にちゃんと記事にします。

2015/8/24(月)

この日からお休みということで、のそのそと起きだしてのんびり支度して、成田へ向かいます。そう、今回は成田からLCCで千歳まで行くことにしました。何事も社会経験です。とはいえ千歳に行くなら羽田からAir Do使った方がなんだかんだ安上がりだと思いました。結局前泊すると宿泊費もかかるし。

2015/8/25(火)

成田駅前のメルキュールで1泊。6時15分発の飛行機に乗るためもちろん始発に乗ります。平日の始発で成田空港に行く人は少なめ。成田駅から成田空港ってすぐ近くだと思ってたんですが、意外と遠いのね。山一つ超えた先という印象。

今回はJet Starを利用しました。ということで成田空港では例のLCC専用第3ターミナルへ。

休憩スペースまである始末
開業当初レーストラックと評された成田3タミ

とんでもない距離をムービングウォークもない通路で歩かされ、改札を出てからおよそ15分ほどかけて到着。このあたり記憶があやふやなんですけど、荷物の重量オーバーで3,000円くらい取られたり(前日までに申請すると安くなるのを知らなかった)、チェックインカウンターで延々とスタッフに「米子まで行きたいんだけどチケット変えてくれない?」ってゴネてる人がいたり、搭乗時にもスタッフを怒鳴りつけている人がいたりしてもう二度と乗らねえって思いました。北海道行くならANAかAir Do。機内はとても狭く、膝が常に前のシートに当たった状態です。でも離陸の前に眠りに落ちて着陸で目が覚めたのでそこは特段何も問題はなかった。LCCはよく遅れると聞きましたが、ほぼ定刻で千歳に到着しました。

LCCが集う駐機場
地平から搭乗。この視点は迫力があります
電光掲示板のフォントを見ると北海道に来たなと実感する
発車を待つ快速エアポート

快速エアポートで札幌まで出て、そこから特急課金して岩見沢まで、岩見沢から滝川行き普通列車(キハ40!)に乗り、滝川からまた特急課金して深川まで。言い忘れてたんですけど今回は北海道&東日本パスという、まあ要するに18きっぷの従兄弟みたいなので旅行しているので、特急利用には別途乗車券・特急券を購入しています。

岩見沢駅で普通列車に乗り換え
岩見沢駅ホームの馬
キハ40車内。濃いブルーが美しい

深川から、廃止が発表された留萌本線へ。まあ大方予想はしてましたけど「廃止する前に乗っておこう!」な人で既にいっぱい。ぼくは廃止発表前から乗ると決めていたのに!(もちろん外から見れば同じ穴の貉)2012年の3月に乗ったときは2~3人しか乗車がなかったこの路線、沿線は風光明媚とまではいかなくとも、流れる景色はとても美しく廃止は已む無しとはいえ残念です。何より天気が晴れてよかった。
深川から30分ほど満員の汽車に揺られ、峠下という駅で降ります。列車そのものもさることながら「駅」という存在が好きなぼくにとって、ここはいつか訪れてみたい駅の一つでした。周囲に人家はほとんどない所謂秘境駅の一つと目されますが、一方で昭和末期に無人化されて以降も立派な木造駅舎が残り、現在もなお保線の詰所として活用されています。この魅力的な駅に、自分の他には誰も降りようともしませんでした。なんて勿体ない!というのも、実はこの駅のすぐ近くに留萌と旭川を結ぶバスの停留所があり、1時間も待てばバスに乗って留萌まで行けてしまうんです。

峠下駅名標
駅舎全影。年季も入って素敵な駅舎です
駅舎入口。国鉄時代も国鉄ロゴが掲げられていたのでしょうか
遠影。駅前に停まっている車は保線作業をする社員のものと思われる
夏の爽やかな風景。この先は異世界に続いているようにも思える
近くのバス停。「峠下分岐点」と名付けられています

ってことで1時間この長閑な駅を全身で堪能し、バスを待ちます。背後には2006年開通の深川留萌自動車道。留萌本線沿いに走っており、現在は無料開放されているようです。5分ほど遅れてやってきた路線バスに乗り込むと、乗車しているのは6名ほど。留萌までは鉄道よりも細かに停留所が配され地域住民の貴重な足となっている……とはいうものの、留萌市街の手前までは乗車も降車もゼロ。R233を延々と進みますが、車の通りもまばらです。

留萌の市街に入ると乗り降りがそこそこ発生します。留萌で昼食を取ることにしていたので、駅前をスルーしてその二つ先の停留所まで乗ります。ちなみにこのバスの終点は「留萌十字街」。十字街は北海道の街区によくつけられる名前ですね。都会に住んでいると「駅前」が終着であるイメージがありますが、北海道では駅が街の中心となることは少ないようです。

留萌では地元の食堂「C-レストラン」へ。前回来たときはホッケの開きがそりゃあもう信じられない美味しさだったので、あれをもう一度食べたい!と願っていたのですが、なんとメニューからホッケ開きが消滅!!なんてこった!仕方がないので別のものを……と思ったのですが、何を頼んだのか忘れてしまいました。もっと早く旅行記をつけておけばこんなことにはならなかったのに……もちろんこちらも街の食堂とは思えないほどおいしかったです。

峠下から乗車したバス。旭川から留萌まで運行します
昼食。なんと魚の腹に明太子が詰まっていて美味。しかし何の魚だったか……?

昼食後は留萌駅へ。ここから増毛までが廃線が確定しているゾーン。増毛にもおいしいお寿司屋さんがあるので、それを目指して再び留萌本線に乗り込みます。まー座席に空きはあれど、車内は自由に動き回れるほど空いてはいません。大人しく車窓を堪能しましょう。
留萌から増毛までは路線バスかと思うほど細かく駅が設置されています。ただ、結局増毛まで乗降はほとんど発生せず。つまり、大半が自分と同じ記念乗車だった様子です。
さてそうこうしているうちに終着の増毛駅に到着。留萌本線の大半は増毛到着後すぐ折り返してしまうのですが、この時間だけは1時間近く増毛駅で停車してから折り返しの運用に入ります。ということで自分以外の何人かも降車後駅前の観光に出かけたようです。
自分が向かった先は「寿司のまつくら」というお寿司屋さん。ここも以前来たところですが、漫画「WORKING!!」の作者さんが贔屓にしているとのことで、このお店の存在を知りました。中にも作者の描いたキャラクターの色紙が並んでいます。肝心のお寿司の方もさすが港町というだけあって肉厚美味です。また増毛は日本酒「国稀」の酒造地でもあります。父が好きだったこともあって自分も好飲するのですが、なんと隣のお客さんから一升瓶の半分ほどいただいてしまいました。陽気なおじさんで、留萌本線の廃線のことは何も知らずふらっと旅に出てきたとか。

まつくらさんのにぎり!港町クオリティは流石です
まつくら仕様の「国稀」半分近く頂いてしまいました
増毛駅の入り口には毛筆体の駅名表示
発車を待つ留萌本線

食事の後はまた留萌本線に戻ります。やはり車内は満員。やっと空席を見つけるとさっきのおじさんが隣に。ずっと北海道で教員をやっていたこと、今はリタイアして旅行を楽しんでいること、自分はこのあと秩父別の温泉に行くんだということなど色々話をしました。ただしこのおじさん、既にすっかり出来上がっていてまあしゃべり声が大きいこと。おしゃべりは楽しいですが、純粋に景色を楽しみたい自分にとってはほんの少し困惑を感じたのも確かです。

留萌も峠下も過ぎ、降りる駅が近付いてきました。次もまた秘境駅の一つに数えられる「北秩父別駅」です。北東パスを運転手さんに見せて下車、しようとしたところで乗客のおばさんに声をかけられました。

「あなた、秩父別の温泉に行くんでしょ?ここで降りても何もないよ!」
「!?」

どうやら、さっきのおじさんと「秩父別の温泉に行く」って話していたのが聞こえていたようで、秩父別の一つ手前の北秩父別で降りようとした自分に降りる駅が違うことを教えてくれたのでした。優しいおばさんでしたが、この駅で降りたかったことを咄嗟に説明するのは難しく、ずいぶんとあたふたしてしまいました。

そんなアクシデントがありながらも降り立った北秩父別駅。秘境駅と数えられるところではありますが、すぐ裏にはやはり深川留萌自動車道が聳えます。また駅は広大な平野のど真ん中に位置していますが、丁寧に手入れされている田畑に囲まれ、その土地の持ち主と思われる人家も見えるため、「秘境感」は薄いです。しかしこのド晴天の中、人の手のきちんと入った田園地帯に佇むことそれだけで十分すぎるほどの爽快感を得られるのも間違いありません。曇りだったら、ここまで気持ち良く無かったろうなと思います。

北秩父別駅ホーム
北秩父別駅全景
駅前風景。雲一つない空が気持ちいい
遮断器は青空を指す

しばし駅とその先に広がる空間を堪能したのち、温泉に向けて歩き出します。このあたりは典型的な開拓田園地帯であり、秩父別の市街地まで延々と直線道路が続きます。これも北海道らしい風景ですが、これまで鉄道に乗るばかりでそういった道路を歩いたことがなかったので、興奮もひとしおです。

遥か彼方まで道はまっすぐに続く
目指す街は蜃気楼の向こうに

北秩父別駅から、よーーーーーーーく目を凝らせばほんのわずかに見えていた秩父別市街も、いざ歩いてみるとなかなか近づいてきません。結局30分近くは歩いたでしょうか?秩父別市街にたどり着くころには日も落ちつつありました。セイコーマートで水分補給し、街の真ん中にある温泉へ。

日が落ち切ってしまう前に、シンボルタワーに上っておきます。30mほどあるそうですがエレベーターなんてものは無し。ストイックに螺旋階段を登って行きます。8月末の北海道はもう秋に数えられるとはいえ、さすがにこれだけ上ると汗もかきます。温泉入った後には登れません。てっぺんの展望フロアからは夕暮れの秩父別が一望できます。本当は窓も開けて風を通したかったのですが、マイマイ蛾が発生するから開放禁止……おかげで日中のぬるい空気が外に逃げずにじめっとした不快な空間になっていたので、すぐに降りてしまいました。

着く頃には日も傾きつつあった
街のシンボルタワー
タワー展望台より黄昏の街を望む
すぐ隣には温泉施設

さて温泉の方は夕方ということもあって盛況。露天風呂もあって気持ち良かったです。もうちょっとぬるい方が好みかも。

入浴後は再び留萌本線へ。夜の秩父別駅はなかなかステキです。最近の言葉でいえばインスタ映えするとも言えましょうか。とても優しい駅でした。さすがに車内は昼間の熱気はありません。乗車しているのも地元の利用者が多いようです。

入浴後、外に出たらライトアップされてました
秩父別駅舎前景
秩父別駅ホーム。オレンジの電燈が優しく照らします
花壇が手入れされており、地元の人に愛されていることが伺える

深川から再度特急課金。滝川から普通列車、岩見沢で乗り換えて札幌まで。札幌では初めて夜のすすきのへ繰り出します。……というといかがわしいお店に見えますが、そんな時間はありません。ベタに味噌ラーメンを食べ、ベタなところで写真を撮ったあとはなんと夜行バスに乗車します。

すすきのらしい写真
味噌ラーメン。なんてお店で食べたのか忘れてしまった……!

今日のお宿は北海道バスの運行する釧路特急ニュースター号。全席3列独立シートで前後の長さも十分確保できています。

パステルカラーな車内
シートピッチは充分

すすきのから乗車したのが自分一人だったので驚きましたが、大半の人は札幌駅前からの乗車でした。途中でいくつか乗車できる停留所があったはずですが、今公式を確認したら大通BT以外はなくなっていました。最終的に乗車は自分含めて9人。この一晩で売り上げ6万行かないけど、経営大丈夫か?なんて下世話なことを考えつつ、バスは高速道路を目指して札幌の街を後にします。

2日目に続く